≪書籍情報≫
原作:
南條範夫 作画:
山口貴由
出版社:
秋田書店
版型:
B6版
カテゴリー:
ヤングコミックス
連載雑誌:
チャンピオンRED
ジャンル:
歴史・時代
≪参考情報≫
参考情報はWikipediaより抜粋したものです。(詳細は下記のとおり。)
ご購入の際はお客様ご自身の最終判断でご利用ください。
『シグルイ』は、南條範夫原作・山口貴由作の時代劇漫画である。秋田書店の月刊漫画雑誌「チャンピオンRED」に、2003年8月号より連載されている。単行本はチャンピオンREDコミックスより刊行。
題名の「シグルイ」は、武士道を体現したと言われる書物『葉隠』の一節、
「武士道は死狂ひなり。一人の殺害を数十人して仕かぬるもの。」
(武士道は死に狂いである。一人を殺すのに数十人がかりでかなわないこともある。)
に由来する。
2007年7月より、アニメ化。現在WOWOWスクランブル枠で放送されている
【原作】
本作は、南條範夫の時代小説『駿河城御前試合』の第一話「無明逆流れ」を原作としているが、山口貴由による奔放な脚色がなされており(例:岩本虎眼の指が一本多く、曖昧な状態に陥っていたり、伊良子の復讐が大幅に改編されているなど)、ほとんど別物に近い作品となっている(「無明逆流れ」は、徳間文庫版では35ページほどの短編である)。南條の『駿河城御前試合』は、駿河大納言・徳川忠長の御前で催された十一番勝負を描いた連作短編であり、1963年には「無明逆流れ」が『対決』の題名で映画化された(作品情報 対決(1963))。
原作小説の漫画版は、平田弘史が1966 年に小説のエピソードを抜粋した『駿府凄絶大仕合』(芸文コミックス、後にレジェンドコミックシリーズより復刊)を手がけている。ただし平田版では「無明逆流れ」の話は収録されていない。「無明逆流れ」の漫画版としては、『シグルイ』以外にも、平田の弟である臣新蔵(現とみ新蔵)が、南條範夫原作の「戦国無惨伝シリーズ」の中で漫画化している。
なお、原作『駿河城御前試合』は長く絶版となっており、古書市場では数千円から一万円のプレミア価格がついていたが、『シグルイ』の発表後、復刊ドットコムでの復刊リクエスト投票が成って、2005年10月6日に徳間文庫から復刊された。表紙絵は『シグルイ』作中の見開き画から採られている。
【梗概】
寛永6年9月24日、駿河大納言・徳川忠長の一意により、駿府城内で御前試合の十一番勝負が行われた。通常、御前試合は、無益に剣士の生命を失わせないために、慣例として木剣にて行うこととなっているが、周囲の諌めにも拘らず、今回の御前試合は真剣を用いる事が決定され、二十二名の達人らによる凄惨な殺し合いが幕を開ける。
御前試合当日、左腕を缺損している隻腕の剣士・藤木源之助の前に現れた相手は、両目が真横一文字に切り裂かれた盲目・跛足の剣士、伊良子清玄であった。対峙する隻腕と盲目の剣士。まともな試合ができるかどうかすら危ぶむ周囲の心配をよそに、伊良子は奇妙な構えを取る。刀を杖のように地面に突き刺して足の指で挟みこみ、体を横に大きくのけ反らせるように捻って、通常とは逆の剣の構え方をした。伊良子必殺の「無明逆流れ」の構えである。
両剣士には浅からぬ因縁があった。ここで物語は七年前の過去にさかのぼる。
「濃尾無双」と謳われる剣の達人・岩本虎眼が、掛川に開いた虎眼流の道場があった。ある夏の日、藤木源之助が修行するこの道場に、涼やかな美剣士伊良子清玄が道場破りとして訪れる。伊良子はまず相手を務めた藤木を「骨子術」指絡みによって破るが、次に相対した師範の牛股権左衛門の「かじき」と呼ばれる長大な木刀を用いた恐るべき速度を誇る剣術の前に追い詰められ、降参するとともに虎眼への弟子入りを希望する。
そして引き立てられた伊良子の前に現れた白髪の老人。その老人こそ虎眼流の創始者である岩本虎眼であった。目の前の人間の名前すら分からぬ曖昧な様子を見せた虎眼であったが、一度太刀を手にするや、伊良子の額に貼り付けられた小豆一粒を髪の毛一本の狂いもなく両断して見せ、伊良子の入門を許可する。涎小豆の儀式である。これ以降、牛股・藤木・伊良子ら三人の弟子は虎眼流の「一虎双龍」と呼ばれることになる。
一年後、瞬く間に腕を上げた伊良子は道場随一の使い手となり、かつて道場の後継者と目された藤木を押しのけて虎眼流の後継者と噂されるようになった。虎眼には娘・三重が一人いるのみで、いずれ婿を取らせて虎眼流を継がせねばならなかったからである。又、三重自身も伊良子に恋焦がれていた。二人のうちより強い男に跡目を、と考える虎眼は藤木と伊良子にかつて自身に因縁のあった仇敵・舟木道場の跡取り息子である兵馬・数馬の兄弟を討ち取るよう命じる。為し遂げた方を三重の婿として迎えるというのである。兵馬・数馬を闇討ちする藤木と伊良子。藤木は虎眼流中目録の奥義「流れ」を用いて兵馬を討ち、伊良子も、兵馬が討たれたことで異変が生じた数馬を討つ。
新年を間近に控えた年の瀬、虎眼はついに三重の婿を決定する。婿として選ばれたのは藤木の見せた「流れ」すら身につけ、さらに腕を上げた伊良子であった。三重と虎眼流を足がかりに、更に高い地位と名声を得ようと野心を燃やす伊良子。だが、伊良子と自らの情婦であるいくとの不義密通に虎眼が気づいたのはそのすぐ後のことであった。
大晦日、虎眼流の奥義を授けるとの呼び出しに応じた伊良子を待ち受けていたのは、虎眼とその門下生による「仕置き」であった。打ち据えられ、薬を飲まされ、竹光を持たされた伊良子は虎眼と相対し、虎眼流奥義「星流れ」によって両目を潰され、いくとともに掛川から姿を消す。
三年後。牛股と藤木を中心として隆盛を極めていた虎眼流であったが、ある日、高弟である近藤涼之介が闇討ちされ、道場に首を晒されるという事件が発生する。死体は頭部を正中線で割られていた。藤木や牛股の他、宗像進八郎、山崎九郎右衛門、丸子彦兵衛、興津三十郎といった他の虎眼流高弟たちは犯人の捜索を開始するが、その中でさらに宗像、山崎、丸子も同じ手口で殺害される。死体に添えられていた品から犯人がかつての「仕置き」に関係する者と推測した藤木は、興津三十郎が時の権力者であった賎機検校に高弟たちの情報を売っていたことを突き止め、興津を討ち取る。だがその日の午後、虎眼流の面々は当の賎機検校から屋敷への招きを受けた。
招きに応じた虎眼や藤木たちは、賎機検校の屋敷にて、以西把爾亜剣術を操る怪剣士夕雲との立会いを余儀なくされるが、虎眼は夕雲をいとも容易く打ち破る。だがそこで虎眼や藤木たちが見たものは、検校の庇護の下で虎眼流への復讐に燃える伊良子といくの姿であった。
数日後、伊良子の策により分断された虎眼流の面々は、それぞれに刺客の襲撃を受ける。藤木と牛股は刺客を返り討ちにするが、牛股は毒に倒れ、虎眼は「星流れ」を超える秘剣「無明逆流れ」を盲目の中で編み出した伊良子と直接相対することとなる。
【登場人物】
* 人物名横の“ 声:〜〜 ”はテレビアニメ版における声の出演者。
虎眼流関係者
藤木源之助(ふじき げんのすけ) 声:浪川大輔
虎眼流の師範代。本編の主人公で、道場では牛股師範に次ぐ腕を誇る。寡黙かつ実直な青年。剣に愛されているのかわずかなヒントで虎の持ち手や、独自に流れ星を編み出した。腕力も相当なもので、得物持ちの浪人7人を拳のみで再起不能に追いやったこともある。
過去に道場破りに来た伊良子清玄に敗北した事に固執しており、仕置きの際に手負いの伊良子に微笑みかけるなど、内に狂気を含んでいると思わせる節がある。
元々は百姓の子だったが、ふとした事から没落武士の子を殺めたことにより虎眼に拾われ、彼の尽力によって士の身分になったという経緯がある。そのため、虎眼に対しての忠義は異常なものがある。
伊良子清玄(いらこ せいげん) 声:佐々木望
藤木の対となる主人公。天賦の才を誇り、虎眼流の奥義を軽々と身につける。のちに虎眼の愛妾いくと密通するが露見し、虎眼の仕置きを受けて両目を切り裂かれ、盲目の身となった。盲いた後は検校と関わるようになり、虎眼流への復讐を誓う剣鬼となる。盲目の身でありながら、かえって剣呑な技「無明逆流れ」を体得し、虎眼流剣士を血祭りに上げていく。
岩本虎眼(いわもと こがん) 声:加藤精三(老境時)/矢尾一樹(壮年時)
「濃尾無双」の称号を持つ剣の達人。虎眼流の当主。「流れ」と呼ばれる技法を編み出し、右手の指が一本多いという多指症で、この形質的特長を駆使した精妙な剣さばきを得意とする。
極めて苛烈な性格で、過去に受けた屈辱は決して忘れない。晩年は精神に失調を来し、普段は曖昧な状態となっているが、時々正気に返る。
娘に三重がいる。妻は過去に縊り死にし、現在は愛妾・いくを囲っている。
牛股権左衛門(うしまた ごんざえもん) 声:屋良有作
虎眼流の師範。道場では虎眼に次ぐ事実上のナンバー2である。身分は郷士。巨漢でにこやかな風貌を持つ。伊良子入門後、虎眼の刀によって口を裂かれたため怪異な容貌となった。巨大な木剣「かじき」を振う。過去に虎眼流に身を捧げる為許嫁を殺害しており、その責を取って素手による去勢を決行している。これが岩本家の跡目になっていない理由と思われる。
岩本三重(いわもと みえ) 声:桑島法子
岩本虎眼の一人娘。虎眼からは道場の跡取りの種受けとしかみなされていない。純情だが虎眼の娘らしい激しさを内面に秘めている。伊良子に懸想しており虎眼流後継者が伊良子に決まった日、虎眼によってその場で男女の契りを交わすよう強要された際、伊良子がそれを阻止してくれたことで、その想いはより強固なものとなり、伊良子追放後はショックのあまり拒食症となった時期もあった。
いく 声:篠原恵美
虎眼の囲われ者。彼女に関わった者は虎眼によってことごとく不幸な目に遭うため、そのことを無残な童歌として囃し立てられた。伊良子と密通し、ともに仕置きを受ける。伊良子追放後は彼と供に賎機検校に仕え、検校の愛妾となる。右胸の乳首は、伊良子がいくに手を出したことを見極めた虎眼によって引きちぎられ、左胸は伊良子の仕置きの時に伊良子の股間を焼き鏝で焼くよう強制された際、伊良子をかばうために自ら焼いている。そして伊良子の復讐の際には背中には眼の無い龍が老虎を屠る様が入墨され、それを見て剣鬼となった虎眼により背中の皮を削がれている。
近藤涼之介(こんどう すずのすけ)声:堀江美都子
虎眼流の高弟。年は若いが虎眼流中目録の腕前を持つ美少年剣士。ただし目録伝授は祖父が虎眼と懇意の間柄だったことによる「義理許し」である。幼いながらも虎眼流剣士としての心構えはしっかりしており、虎眼流を罵倒した浪人を切り捨てたこともある。藤木源之助のことを慕っており、自身もいつかその域に達したいと思っていた矢先、伊良子の虎眼流復讐劇最初の被害者となってしまう。
宗像進八郎(むなかた しんぱちろう) 声:大林隆介
元は掛川宿の任侠という経歴をもつ虎眼流の高弟。彼の中目録は純粋に剣術の腕のみでを許された「術許し」であり、歴戦の剣士である。口元をはじめ体中に無数の疵跡がある。涼之助死亡後、一応の下手人として立てられた一刀流の檜垣陣五郎を圧倒するも、その後、霧の中で出会った伊良子の「逆流れ」によって殺された。
山崎九郎右衛門(やまざき くろうえもん)声:島田敏
虎眼流の高弟。足軽出身。近藤涼之介にひそかに思いを寄せる稚児趣味の剣士。猫科動物の様なぎょろ眼をしている。また、夜になると時折松の木の下で涼之助の事を妄想しつつ、己の陰茎を口で慰めるなどの奇癖を持つ。
町の食事処で虎眼流の悪口を漏らした武士の顎を拳の一撃で砕いた上、無礼討ちにした武士の眼球を取り出して食べるなど奇行に事欠かない。
丸子彦兵衛(まりこ ひこべえ) 声:稲葉実
虎眼流の高弟。足軽出身。高弟たちの中でも牛股に次ぐ怪力を誇る巨漢の剣士。湯屋にて伊良子に殺された。素手で畳を突き破り伊良子との対決では討ち取られながらも壁板に手刀を突き刺す程の指力と怪力に優れる。
興津三十郎(おきつ さんじゅうろう) 声:小山力也
虎眼流の高弟。身分は郷士。剣術だけでなく学問にも秀でており、藤木に読み書きを教えた。指二本で天井にぶら下がるなど、凄まじい指力を持つ。伊良子の追放、三重の心の崩壊などの出来事により虎眼流の行く末に絶望し、検校側に高弟三名の情報を売って伊良子の復讐劇に手を貸していたが、藤木によって制裁される。
根尾谷六朗兵衛(ねおや ろくろべえ)
伊吹半心軒(いぶき はんしんけん)
金岡雲竜斎(かなおか うんりゅうさい)
「濃尾三天狗」の異名を持つ虎眼流免許皆伝の三人。伊良子清玄の魔の手から師、虎眼を守るべく濃尾道場より呼び出された。しかし伊良子が訪ねてきた夜、敵味方関係なく切り伏せる魔人と化した虎眼によって六朗兵衛と半心軒は胴を真っ二つにされ死亡。行灯の近くにいた雲竜斎は難を免れ、伊良子側に寝返り彼に有利な証言をして大金を得、己の道場を開いたとされる。金岡雲竜斎は南條の『秘剣流れ星』では主人公の師として登場している。
その他の人物
徳川忠長(とくがわ ただなが) 声:松田佑貴
駿河大納言。将軍徳川家光の実弟でもある。非常に暴虐な性格で、妊婦の腹を裂いたとか、浅間神社で1,200頭あまりの猿を射殺したなどの伝説がある(ただ、これらは作り話である可能性が高い)。
寛永六年九月二十四日、駿河城で真剣を用いた御前試合を開催するという暴挙を犯した。
鳥居成次(とりい なおつぐ) 声:坂口芳貞
土佐守。忠長の家老。真剣を用いた御前試合を行うという忠長に対し、陰腹を斬り真剣試合の愚かさを説いたうえで自らの内臓を見せ付け主君を諭した。しかし効果なく「暗君…」の一言を残し死亡。
柳生宗矩(やぎゅう むねのり) 声:近藤隆
のちの将軍家剣術指南役。柳生新陰流の使い手。過去に虎眼と立会い、互角の攻防を演じたが「星流れ」の構えの前に圧倒される。降参する直前に虎眼から引き分けをもちこまれるが、虎眼の狙いは宗矩の体裁を保つことで徳川家剣術指南役に自身を推挙させることであった。そのままでは面白くない宗矩は一計を案じ、虎眼と豊臣秀吉が同じく多指であることを利用して「仕官の面接の際には右手の指を1本隠した方がいい」と嘘の助言をおこない、虎眼の悲願を水泡に帰させた。嫉妬深い虎眼の人格形成に大きく関っているであろう人物。
舟木数馬・兵馬(ふなき かずま・ひょうま) 声:近藤隆、楠大典
舟木一伝斎の双子の息子。並外れた巨体と豪剣の持ち主。横から投げられた鉄兜を宙空で一刀両断する「兜投げ」を得意とする達人であるが、藤木と伊良子の闇討ちによって討ち取られる。
舟木一伝斎(ふなき いちでんさい) 声:大塚周夫
掛川城下に慶長以来名人と謳われた剣客。かつて虎眼と上覧試合をした事があり、その際に木剣で下あごを削ぎ飛ばされている。しかし、そのことで掛川城主・安藤直次より「不作法との誹りを受けた」として虎眼からは逆恨みされている。
仇討場に姿を見せているが、跡取り息子二人を失った衝撃のためか老境著しく、また自分の足で歩くこともかなわないのか箱車に乗せられている。
お蓉(およう) 声:氷上恭子
伊良子清玄の母親。夜鷹(下級の売春婦のこと)をして生計を立てている。が、その影響で脳が梅毒に犯されており、今では息子の清玄と客の区別も付かなくなっている。好物はぎんつば(焼き餅)。
蔦の市(つたのいち)
盲人の自治組織である当道座に所属する盲目の男。按摩と灸を生業としている。伊良子についての手がかりを求め訪れた丸子と興津に対し挑発的な態度を取った為、二人に音による恐怖を味合わされて失禁してしまう。また後日にも、藤木源之助に対する軽率な発言により蛇平四郎に首を絞められている。
賎機検校(しずはたけんぎょう)
盲人の身で大名並みの権力を持つ実力者。自身は幼い頃に鴉によって目を突かれたため失明したという。岩本虎眼によって両眼を潰された伊良子清玄といくを抱え、虎眼流剣士の殲滅に手を貸している。伊良子以外にも夕雲、蝉丸など多数の手練れを抱えている。なお、社会的立場に関する詳細は検校を参考のこと。目明きを凌駕する伊良子の剣才にほれ込んでいるとみられる。
夕雲(せきうん)
賎機検校お付の剣士。体毛が一切ない。かつては高級藩士の子であったが、忠義を理解出来ないという武士として致命的な欠点を持っていたが故に親に捨てられた過去を持つ。その後将軍家剣術指南役の小野忠明の弟子となり、忠明から対西洋剣術の練習台として犠牲になるべくレイピアを渡され、以西把爾亜剣術と呼ばれる刺突剣を用いた剣法の習得を命ぜられ我流で習得した。
検校の命により虎眼と立ち会うが、虎拳の一撃により敗北。その後検校に剣を向けるも、中間の蝉丸によって阻まれ、手甲鉤で胸を貫かれた。
蝉丸(せみまる)
賎機検校の家に仕える中間。巨躯を持ち、その体には無数の痣があり、全ての手指の先端が欠損している。含み針を得意とし、その技は水中にいる鯉の目を正確に射抜くほど。
伊良子清玄の命により他の中間三人とともに牛股権左衛門を襲うが、牛股の「星流れ」により首を切られるが、毒を塗った手甲鉤で権左衛門の足を引っ掻き昏倒せしめた。
友六(ともろく)
蝉丸と同じく賎機検校の家に仕える中間。鼻の横に葡萄ほどの大きさの黒子がある。鉄砲術を扱い、興津三十朗の「流れ」を見極めるなど、視力に長ける。
伊良子の罠にかかった藤木源之助を討ち取ろうとするも、銃弾を刀のはばきで防がれ、逃げようとしたところを逆に討ち取られた。
蛇平四郎(くちなわ へいしろう)
九鬼一家という博徒集団の用心棒を務める男。一羽流の使い手。かつて藤木源之助と戦い、二度の敗北を経て藤木源之助こそ虎眼流最強の剣士であると強く確信するようになった。源之助には少なからず敬意を持っている。
虎眼流瓦解後、平四郎は源之助に激励の言葉を贈っている。
孕石備前守(はらみいしびぜんのかみ)
掛川藩家老。右目に大きな傷のある老人。藤木源之助を武士として、また剣士として高く評価しており、それは藤木を息子に見せるため、わざわざ三男である雪千代を尾張から呼び戻したほどである。藤木と伊良子の仇討ち試合を了解した人物。
孕石雪千代(はらみいし ゆきちよ)
孕石備前守の三男。長身の偉丈夫で美男。十三歳の時に下女三名を妊娠させたという逸話があるほどの女好きである。「つ…か」「本気(まじ)かよ」「あり得ぬ」など、現代の若者言葉を意識したような台詞が書き込まれる。
月岡雪之介(つきおか ゆきのすけ)
原作「峰打ち不殺」の主人公、峰打ち不殺剣の使い手。二人の掛川藩士の報復に会い、木の幹に縛り付けられ山中に放置されたいくと伊良子が野犬に襲われそうになったところを救出する。伊良子が無明逆流れを編み出す切っ掛けをつくった可能性がある。
屈木頑之助(くつき がんのすけ)
通称蝦蟇。原作の「がま剣法」の主人公でがま剣法の使い手。元舟木道場の剣士で、仇討場に見物に現れる。
【虎眼流の技法】
虎眼流は、初代当主である岩本虎眼が浪人として修行中に用いていた我流の剣術を前身とし、それを発展・体系化したものである。従って、その技術には他の流派にはない独特の技法が多数含まれており、しかもその性能は他の追随を全く許さない、極めて強力なものとなっている。以下に、虎眼流の技法を挙げる。
虎拳(こけん)
手首を用いた当て技。拳の一撃だけでも、相手の人体そのものを変形させるほどの破壊力を持ち、しかもその速度は一般人の動体視力では捉えることもできないほど迅い。空手で、主に払い技として使用されている「孤拳」と類似しているが、虎眼流のそれは明らかに攻撃用であり、殺傷力が極限まで高められている。
虎拳の星流れ(仮称)
藤木が虎眼のヒントにより星流れの原理を習得した際、自ら編み出したと思われるもの。星流れの原理を応用し、片方の拳を握りその反動で虎拳を神速で放つ。丹波蝙也斎との立合いを無刀で文字通り身に寸鉄も帯びず挑んだ藤木が、丹波蝙也斎の抜き打ちに対してバックハンドブローのような形で用い、虎拳の当たった顎ごと吹き飛ばしている。
土雷(つちらい)
組み伏せられた状態から、踏み込みと全身の「反り」を用いて、瞬時に拳を内臓にめり込ませる柔(やわら=柔術)の技。藤木源之助が伊良子清玄との仇討ちにて行った際には、拳の代わりに刀の柄頭を使用した。
流れ
虎眼流の中でも中目録以上の腕前の者にのみ伝授される秘伝である。刀を片手で背後に担ぎ、その状態から相手に向かって刀を横に薙ぐという技であるが、その際、手を刀の鍔元から柄尻まで横滑りさせる事により、斬撃の攻撃範囲・剣速を高めている。人体は三寸斬り込めば十分致命傷になりうるという理を利用し、切先による最少の斬撃で相手を絶命させる事ができるとされている。技の性質上、精妙な握力の調節が不可欠となる。それ故に「不十分な流れはそれ故に危険」と言われ、三重が七丁念仏を持ち出した時に行った流れは握力の調節が不十分であったため、刀剣はあらぬ方向に飛んでいった(この時は藤木の命がけの無刀取りにより、刀も三重も無傷で事なきを得た)。
牛股は検校屋敷の刺客に襲われた際、三人同時に軌道を変えながら精確に斬り込み、藤木は跳躍しながら流れを放ち、かなりの間合いがあった友六に斬撃を与えた事があり、様々な応用が存在すると思われる
流れ星(星流れ)
岩本虎眼が修行中に生み出した、秘奥の必殺剣である。この技は、大目録術許し(免許皆伝)を与えられた者のみが使う事を許されており、その域に達しない者は、岩本虎眼がこの技を使用する様を見てはならないことになっている。尚、開眼の地である秋葉山昆嶽神社は虎眼流にとって聖地とされる。
この技の要点は、人差し指と中指の間で剣の柄を挟み、もう一方の手の人差し指と中指で刀の刃を同様に挟み込むことで力を極限まで溜める事であり、それを一気に解き放つことによって、最短の軌道で爆発的な速度と破壊力を持つ斬撃を放つ事が出来る。これに加えて、斬撃を放つ際に身体を回転させることにより、使用者の周囲全ての物を一刀両断とする。
その剣の腕を証明したのは主君に頼まれて一度この技を御前で披露した時である。6人の囚人の首を一度にはね、内後方の2人の首は胴の上に乗ったままだったという。精妙比類無しと謳われた虎眼の始まりである。
藤木、牛股、伊良子らもこの「星流れ」を使うことが出来る(伊良子は仕置きの際技法を盗み、藤木は虎眼のヒントから自ら編み出した)が、岩本虎眼の用いる流れ星は左手をやや持ち上げ手前に引くように構え、人差し指と中指で刀身を挟むのに対し、伊良子が見せた星流れは胸の前で地面に水平になるように構え(この構えは回想で柳生宗矩と対峙した岩本虎眼が見せたものに酷似している)、牛股の星流れは同じく刀身を水平にし、刀を固定する左手を蟷螂拳のように、人差し指から小指を揃えた状態で親指でつまむ様に挟む。藤木の編み出した星流れは親指で何かを弾く際のような手の形(コイントスでコインを弾く時に似ている)で、親指と人差し指の横の部分で刃を挟む。作中には登場しないが第4巻の裏表紙で見せた藤木の構えは大刀を垂直に構えている。左手の刀身を挟む形だけでも様々であり、その構えは使い手によって微妙に違っている。
作中、技の名称が「流れ星」と「星流れ」の二つで呼ばれるが、どのような基準で区別されているかについて作中では言及はされていない。また、原作の「駿河城御前試合」で虎眼流の奥義は「流れ星」となっているが、「秘剣流れ星」において、主人公の使う技は「星流れ」という名称が用いられている。(ちなみに、「秘剣流れ星」では、宮本虎眼という剣士が虎眼流を創始した、とされている。)
原作に登場する「流れ星」は「対手の首を狙い、流星の如き神速で横薙ぎの一閃を放つ、一太刀が必殺の秘剣」とされ、細かい技術などの描写はされていないが、シグルイのものとは首を狙った横薙ぎの斬撃という点のみが一致するだけで、基本的に異なる技である。原作では本来流れ星は両手で刀を握り繰り出す技のようだが、隻腕になった藤木が流れ星を使う描写もある。
星流れの掴み(仮称)
人差し指と中指の二指で刀の柄を挟むように握る、星流れに用いられる掴み。濃尾三天狗や二輪で使用されていたことから元々虎眼流に存在する技法であるようである。藤木が信楽伊右衛門に襲撃された際に偶然編み出し、興津の台詞によると仕置きの際に他の門弟にも見せたことから、虎眼流の高弟の間で使われるようになる。脇差の小刀で抜刀と同時に神速の斬撃を繰り出す方法が高弟の間では用いられたが、二輪で用いられたものや濃尾三天狗の見せた構え、藤木が友六に襲われる直前に見せた抜き打ちでは、打刀の大刀を使っている。また、虎眼はこの掴みで二刀流の構えを見せた。伊良子が構える前、抜刀の動作でこの掴みをしたこともある。
飛猿横流れ(ひえんよこながれ)
逆回転によって、後回しに流れを放つ技。正面より上半身のみを捻る通常の流れとは異なり、全身の回転を利用し、更には踏み込みを加える為、従来の流れの速度・威力・攻撃範囲を遙かに凌駕する。
「流れ星」と同じくこちらも原作の「無明逆流れ」に藤木が独自に編み出した技として登場する。原作では「流れ星」に改良を加えた技であり、対手の左肩にぶつかるように接近し、飛びこみざまに横薙ぎに払う。
紐鏡(ひもかがみ)
紐(ひも)は氷面(ひも)の意。磨きぬいた刀身に敵を映し出して、相手の動向を探る技法。半身を捻り、敵からの視線を背けた構えを取ることから、「流れ」への伏線技と思われる。
無明逆流れ(むみょうさかながれ)
原作短編の題名ともなっている技。伊良子清玄が虎眼流を追放された後、それまでに身に付けた技術を基に生み出した独自の必殺剣である。「盲人が杖を突いているかのような」剣を地面に突き立てた構えから、前方に倒れこんで相手の攻撃をかわしつつ、相手の腹部から顔面にかけての正中線を流れによって切り上げるという技で、その速度、間合いは流れを遥かに凌駕し、流れ星にも匹敵するほどである。技の特性上、地面の硬軟や地中に埋まる石などの障害物の有無によって、発動が妨げられるという弱点があったが、後年、跛足となった足を使って剣を締め付けることによって、流れ星と同様の技へと改良されており、更に強力なものとなっている。「無明逆流れ」とは剣技や構えの名前であると同時に、伊良子の使う剣法そのものの名前でもあるようである。
山崎に使ったものは倒れ込む動作が無くそのまま身体を反るように斬り上げていたり、丸子を倒す際に使ったものも同様にそのまましかから上へ斬り上げている、宗像を襲撃した際には倒れ込む動作はしていたが、本来刀は右手で握るようであるが左手で握っている。また、「流れ」の技術を用いて掌中を滑らせる時とそのままの握りで斬り上げるパターンがあり、様々な工夫が凝らされたと思われる。
原作では無明逆流れに用いられる、地面に突き立てた刀を斬り上げる技術を総称して逆流れと呼んでいるようだがシグルイではこの呼称は用いられていない。
二輪(ふたわ)
虎眼流の秘太刀の型(定められた攻防の手順)。二名で行う。元々は訓練のために用いられるものだが、真剣を用いて超高速でこれを行った場合、その致死率は実戦よりも更に高いと言われている。そのため、二輪を舞う者は、斬死に備えるために下剤入りの葛湯を飲んで大便を完全に排泄し、内臓の臭気を消すという清めを行う。
弟子の裏切りに憤怒した岩本虎眼が、他の弟子への猜疑心に駆られ、藤木と牛股の両名の忠誠心を試すために舞わせたが、終了後には生存に成功した両名が感涙するほどであった。
練り(ねり)
鍛錬法の一つ。巨大な木剣「かじき」を使用し、素振り一挙動を小半刻(約30分)かけて行う。力んだ際に奥歯が粉砕するのを防ぐため、手拭を口にくわえて行う。
水鎧(みずよろい)
水練(泳法の訓練)の一つ。重い甲冑を着込んだ状態で海中に水没し、沈み切ってしまう前に甲冑を外して浮上するというもの。どのような危機的な状況であっても冷静さを保つ為の訓練である。素早く浮上出来なければ命に関わる危険なものだが、虎眼流全体から見ると、これでも比較的安全な部類に入る訓練だという。
鉢巻切(はちまきぎり)
相手の頭に巻かれた鉢巻を、木剣で切断する演武の一種。牛股の得意技であったが、入門して一年程度の伊良子が使いこなした。
涎小豆(よだれあずき)
虎眼流独特の入門儀式。勝蜩、(ササゲ)の甘露煮に水飴を絡めたものを入門希望者の額に一粒貼り付け、当主である岩本虎眼がそれを抜き打ちで十文字に寸断するというもの。この際、同席者は刀の刃で指を切って出た血を同様に自らの額に付ける。抜き打ちが成功した後は、同席者全員で「お美事(おみごと。見ではなく美の字を使う)にございまする」と斉唱するのが習わしである。後に、伊良子がこれと同様の試し切りをササゲよりも更に小さな米粒をいくの乳首に貼り付けて実行しており、技術を確実に会得した事を如実に表す事となった。
鍔迫り(つばぜまり)
自らの刀を相手の刀とぶつけ合わせ、そのまま力押しによって相手を屈服させる技。藤木の得意技であり、彼の場合、相手を押し倒し、更には首を木刀で締め上げる事で、自分からはギブアップを宣言出来ない様にするという恐ろしい技となっている。
片手念仏鎬受け(かたてねんぶつ しのぎうけ)
鎬(しのぎ=刀身と峰の間に有る小高い部分)に掌底を添えて相手の斬撃を受ける。技というよりは、剣術の基本的な防御技術の一つ。
茎受け(なかごうけ)
刀身の下部(柄)を、相手の攻撃に合わせる防御技術。虎眼流免許皆伝を受けた藤木源之助は、星流れへの対処法を思案した末、斬撃に対して柄頭を水平に合わせて受けることを編み出し、この一般的な防御法を、ついには「対星流れ用の防御」にまで昇華させた。
晦し(くらまし)
刀を両手持ちで上段に構え、刀から片手のみを放し、放した方の腕を先に振り下ろす一種のフェイント技。振り下ろす手に剣気をのせることで、相手は本当に斬られたような感覚に一瞬襲われる。相手への威嚇や挑発にも用いられる事がある。前述の「二輪」の一の型でもある。
簾牙(すだれきば)
藤木源之助と牛股権左衛門が、対 伊良子清玄戦に向けて開発した構え。
清玄の「無明逆流れ」対策として考案された構えであり、元来の虎眼流には存在しない藤木(+牛股?)独自の技術である。
命名者が牛股なのか藤木なのかは不明。
右手に星流れの構え、左手に逆手で脇差を構えたその体勢を、簾(すだれ)状に並ぶ牙に見立てた命名と推測される。
左に逆手で構えた脇差は、無明逆流れの下段対策に特化した結果。
【テレビアニメ】
2007年7月19日よりWOWOWにて放送開始。HV制作。現在の一般漫画では極限ともいえる原作の残酷描写をアニメにおいても再現する為、R-15指定の放送となる。キャスティングはベテランから若手まで著名な声優を多数配役。また、山口の別作『覚悟のススメ』アニメ版でヒロイン・罪子を演じた堀江美都子が友情出演している。
キャスト
* ナレーション:チョー
スタッフ
* 原作:南條範夫「駿河城御前試合」
* 漫画:山口貴由 (月刊 『チャンピオンRED』 連載中)
* 企画:丸山正雄、黒水則顯、熊澤芳紀、秋田貞樹
* エグゼクティブプロデューサー:峰崎順朗、川村明廣、丸田順吾、伊藤純
* プロデューサー:北浦宏之、上田耕行、二方由紀子、小山芳弘
* シリーズ構成・脚本:水上清資
* キャラクターデザイン・総作画監督:筱雅律
* 美術監督:金子英俊(アトリエブーカ)
* 色彩設計:鎌田千賀子
* 音響監督:本田保則
* 音響効果:倉橋静男(サウンドボックス)
* 音楽:吉田潔
* 音楽プロデューサー:岡田こずえ、尾上政幸
* 撮影監督:増元由紀大
* CGディレクター:相馬洋
* 編集:寺内聡
* アニメーションプロデューサー:篠原昭
* アニメーション制作:マッドハウス
* 監督:浜崎博嗣
* 製作:シグルイ製作委員会(WOWOW、ジェネオンエンタテインメント、マッドハウス、秋田書店)
(「シグルイ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)。2007年8月30日14時(日本時間)での最新版を取得。改訂履歴(http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%82%B7%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%A4&action=history)。Text is available under GNU Free Documentation License(http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html).)